「今度はなんて言われた?」

「別にいつものことだよ。お金を催促されただけ」

「またか。毎月毎月しつこいな」

「仕方ないよ。今月はムリかもって最初断っちゃったから。結局払うことになったんだけどね」

「美菜、大丈夫かよ?」

「何とかね、アルバイト新しいの始めないといけないかもしれないけどね」


現在、昼間に医療事務の仕事をしながら、夜はコンビニでアルバイトをしている。

大学の奨学金も払い続けているし、実家にも振り込まないといけないから、仕事を掛け持ちしても足りないくらいだ。


しかもお稽古のための毎月の月謝を出すだけでも大変なのに。

生活をもっと切り詰めるか、アルバイトを増やすしか、道は残されていなかった。


「もう新しいバイト先決めてんの?」

「ううん、まだ」

「だったら、まだ決めんな」

「でもすぐにでも決めようと思う、本気でまずいし」