飛び出す、という表現がまさにぴったり。ガラガラッと大きな音が響いて俺は驚いて足を止めた。

「優絵!カバン、忘れんなぁ!」

甘ったるい声が特徴的な女の子が、優絵の後ろからリュックを持って出てくる。
優絵は目を見開いてこちらを見ながら固まっている。

「あ、お邪魔しましたぁ」

優絵に無理矢理リュックを背負わせて、女の子は教室の中にさっさと戻った。
俺は驚いていただけだが、優絵の様子が少しおかしい。

「どうした?調子悪いか?」

少しあった距離を歩いて縮める。
顔を覗きこむと、切羽詰まったような瞳と目が合った。

「…」

「こ、弘毅。ちょっと」

小さな声にハッとする。嫌な予感が胸を覆う。