信じられない思いを抑えて彼女の頬を両手で挟むと、駄々っ子のように頭を振る。
俺は、それを封じるように力を込めてこちらを向かせる。

「言っていい?好きだって。」

ピクリと震えた後、優絵の動きが止まる。

「優絵のこと好きだって言っても、優絵は困らない?」

少し濡れた瞳が、これ以上ないくらい大きく開かれている。
綺麗だな、と思った。

「こまら、ない。私も、好き」

揺れた声に反応して、俺の内側から熱いものが込み上げる。
そのまま、頭を抱え込む形で抱きしめた。
優絵が苦しくないように。それでも、きつく抱きしめられていると感じられる力加減で。