翌日から、すっかり舞香の姿を見かけなくなった。

当然のことだ。

休み時間ごとにのぞきにきていた教室にも、必ず絡みにきた昼休みも、顔を出さない。

放課後も同じ。

俺は誰もいない部室で一人、カメラをパソコンにつないだ。

 ファイルフォルダーの中の、無駄に撮った画像を次々と流している。

ふとマウスを動かす手が止まった。

別フォルダーとして放置されていた『星空』のファイル。

初めて舞香とハクを見た時の写真だ。

山本が入ってくる。

ドカリと隣に腰を下ろした。

「別れたの?」

 紙パックのマンゴージュースを飲んでいる。

それは俺が最後にハクに買ってやったのと、同じヤツだ。

「だ、れ、が? だ、れ、と?」

「お前と舞香ちゃん」

 ズズッという音を立てて、最後の一滴をすする。

飲み終わったそれを、ポイとゴミ箱に投げ入れた。

山本の外したそれを、俺はちゃんと捨て直す。

「だから、付き合ってないって」

「希先輩と荒木さんを奪い合って、希先輩が負けたっぽい」

「は?」

「舞香ちゃんと荒木さん。付き合いだすんじゃね?」

 思わず立ち上がる。

「圭吾はそれでもいいのかなーって」

「よくない!」

 よくはないけど、よくなくないこともない……。

「つーかソレ、なに情報だよ」

「みゆき情報」

 みゆきか……。まぁ、表現の仕方は問題あるけど、要するにそういうこと、ではあるのだろう。

「お、俺には関係ないから……」

「あっそ」

 腰を下ろす。

もう一度立ち上がって、また座る。

山本と目が合った。

「なにやってんの」

「何も!」