「そんなこと言われて、困ってたのは圭吾の方だったのに」
「なにが?」
「私とのこと」
「あぁ、それは別に……」
いや、だからそうじゃなくって……。
「えっと、ハクの話しに戻そうか」
「うん。そうだね」
ハッキリ言われる。
なんだか余計にしゃべり辛くなった。
終点のコンビニの灯りが、いつも以上に眩しい。
この坂、いつの間にこんなに短くなった?
「荒木さんは、どこまで知ってるの?」
「ほぼ全部。ハクが宝玉探すのを、何だかんだで手伝ってくれてる」
「進み具合は?」
「うん、全く。神社にご神体として奉納されてた宝玉は、その後地元武士の家宝にされてて、この辺りの土地をもらう代わりに、それを城の殿様に差し出したってところまでは分かった」
宝玉と土地の交換か。
人間ってやっぱりニンゲンだな。
「宝玉って、ニンゲンに御利益はないの?」
「人に使えるものではないらしい」
「あぁ、そういうことね」
ただ綺麗なだけで無価値な石なら、そりゃ土地の方がいいよな。
「で、その後は?」
「写真が残ってた」
「マジで?」
スマホを取り出す。
彼女の見せてくれた画像は、古い紙の資料を撮影したものだった。
古びた木製の棚に張ったガラスが、フラッシュで反射している。
厚みのある小さな座布団に鎮座したそれは、俺の握りこぶしより少し大きくしたくらいのサイズだ。
見た目は虹色の光りを放つ透明な石で、よくある占い師の水晶玉のようだった。
「何かの雑誌に載ってたやつの、写真の写真?」
「そう。『昔の資料集に、こういう写真が載ってました』ってやつを写した写真」
「いつの資料?」
「戦前だって」
「わーお」
随分と近づいたけど、まだ遠いな。
「……。戦争で失われた?」
「その可能性はないって、ハクが言ってた。そう簡単に壊されるものじゃないからって」
資料の資料画像によると、戦前に建てられていたお城の、歴史資料館に飾られていたらしいけど、その資料館自身は、戦火によりお城と共に消失してしまったらしい。
「じゃあその後の行方は……」
「謎のまま。焼け跡に残ってるか、持ち出されてしまったのか……。もし、持ち出されたのなら、もうどこへ行ったのか分からないよね」
「全国の水晶玉を検索する?」
「売買サイトに上がらない個人所有のは、探しようがないって部長が……」
ここまでか。
「なにが?」
「私とのこと」
「あぁ、それは別に……」
いや、だからそうじゃなくって……。
「えっと、ハクの話しに戻そうか」
「うん。そうだね」
ハッキリ言われる。
なんだか余計にしゃべり辛くなった。
終点のコンビニの灯りが、いつも以上に眩しい。
この坂、いつの間にこんなに短くなった?
「荒木さんは、どこまで知ってるの?」
「ほぼ全部。ハクが宝玉探すのを、何だかんだで手伝ってくれてる」
「進み具合は?」
「うん、全く。神社にご神体として奉納されてた宝玉は、その後地元武士の家宝にされてて、この辺りの土地をもらう代わりに、それを城の殿様に差し出したってところまでは分かった」
宝玉と土地の交換か。
人間ってやっぱりニンゲンだな。
「宝玉って、ニンゲンに御利益はないの?」
「人に使えるものではないらしい」
「あぁ、そういうことね」
ただ綺麗なだけで無価値な石なら、そりゃ土地の方がいいよな。
「で、その後は?」
「写真が残ってた」
「マジで?」
スマホを取り出す。
彼女の見せてくれた画像は、古い紙の資料を撮影したものだった。
古びた木製の棚に張ったガラスが、フラッシュで反射している。
厚みのある小さな座布団に鎮座したそれは、俺の握りこぶしより少し大きくしたくらいのサイズだ。
見た目は虹色の光りを放つ透明な石で、よくある占い師の水晶玉のようだった。
「何かの雑誌に載ってたやつの、写真の写真?」
「そう。『昔の資料集に、こういう写真が載ってました』ってやつを写した写真」
「いつの資料?」
「戦前だって」
「わーお」
随分と近づいたけど、まだ遠いな。
「……。戦争で失われた?」
「その可能性はないって、ハクが言ってた。そう簡単に壊されるものじゃないからって」
資料の資料画像によると、戦前に建てられていたお城の、歴史資料館に飾られていたらしいけど、その資料館自身は、戦火によりお城と共に消失してしまったらしい。
「じゃあその後の行方は……」
「謎のまま。焼け跡に残ってるか、持ち出されてしまったのか……。もし、持ち出されたのなら、もうどこへ行ったのか分からないよね」
「全国の水晶玉を検索する?」
「売買サイトに上がらない個人所有のは、探しようがないって部長が……」
ここまでか。