「で、宝玉の行方は分かったの?」
俺がそう言うと、舞香はハクを見た。
「分かったっていうか……」
「ご神体として池の底から掘り起こされ、神社に奉納された後、地元の武将に奪われ、家宝にされていたところまでは分かった」
「それって、もしかしなくても……」
「戦国時代」
「遠いな」
「その後は、この辺りを治めていた殿様に譲られた可能性が高いって」
「その子孫は?」
「さぁ……」
俺は「真面目に探す気あんのか」と言おうとして、やめた。
余計なことに口を突っ込むと「だったら手伝え」って言われるのは、決まってるし。
「ま、頑張ってね」
「あ、ちょっとま……」
俺は何の為に呼び出されたんだ?
全くもって意味が分からない。
教室を出る。
荒木さん……、いや、あの白銀の龍め。
そもそも勝手に全部を俺に押しつけておいて、好きにしろとか、随分いい加減な話しだ。
自分の不始末は自分でケリをつけやがれ。
そもそもそんな悠長な問題に、かまっている暇はない。
階段を下りる。
人気のない廊下は、少しほこりっぽい臭いがする。
本当はコンクール用の写真を撮らないといけないのに、すっかりやる気が失せた。
塗装の剥がれかけた壁に手を触れる。
そのままザラザラとする冷たい感触に、歩きながら触れ続けていると、肌はすり切れてしまいそうだ。
「圭吾」
舞香が追いかけてきた。
「待って。撮影に行くの? 途中まで一緒に行こう」
俺より少し背の低い、肩までの髪が隣に並ぶ。
なんだかちょっと珍しい雰囲気に、壁から手を離した。
「どうしたの?」
「どうしたって……」
さっきまでずっとザラザラと触れていた壁のせいで、手の感覚がおかしい。
「荒木先輩と、いい写真撮れた?」
「あ、あぁ……。まぁ、それなりにね……」
「それなり? イマイチだったってこと?」
くるりと振り返り、微笑んだ彼女は俺を見上げる。
彼女の目が、なんだかやけに眩しい。
俺がそう言うと、舞香はハクを見た。
「分かったっていうか……」
「ご神体として池の底から掘り起こされ、神社に奉納された後、地元の武将に奪われ、家宝にされていたところまでは分かった」
「それって、もしかしなくても……」
「戦国時代」
「遠いな」
「その後は、この辺りを治めていた殿様に譲られた可能性が高いって」
「その子孫は?」
「さぁ……」
俺は「真面目に探す気あんのか」と言おうとして、やめた。
余計なことに口を突っ込むと「だったら手伝え」って言われるのは、決まってるし。
「ま、頑張ってね」
「あ、ちょっとま……」
俺は何の為に呼び出されたんだ?
全くもって意味が分からない。
教室を出る。
荒木さん……、いや、あの白銀の龍め。
そもそも勝手に全部を俺に押しつけておいて、好きにしろとか、随分いい加減な話しだ。
自分の不始末は自分でケリをつけやがれ。
そもそもそんな悠長な問題に、かまっている暇はない。
階段を下りる。
人気のない廊下は、少しほこりっぽい臭いがする。
本当はコンクール用の写真を撮らないといけないのに、すっかりやる気が失せた。
塗装の剥がれかけた壁に手を触れる。
そのままザラザラとする冷たい感触に、歩きながら触れ続けていると、肌はすり切れてしまいそうだ。
「圭吾」
舞香が追いかけてきた。
「待って。撮影に行くの? 途中まで一緒に行こう」
俺より少し背の低い、肩までの髪が隣に並ぶ。
なんだかちょっと珍しい雰囲気に、壁から手を離した。
「どうしたの?」
「どうしたって……」
さっきまでずっとザラザラと触れていた壁のせいで、手の感覚がおかしい。
「荒木先輩と、いい写真撮れた?」
「あ、あぁ……。まぁ、それなりにね……」
「それなり? イマイチだったってこと?」
くるりと振り返り、微笑んだ彼女は俺を見上げる。
彼女の目が、なんだかやけに眩しい。