「僕、お酒飲んじゃってるから、タクシー乗り場に行こう。紡木さんはそれ乗って帰って。」
駅前に着くと西園寺は紡木にそう言って、タクシー乗り場を探しているのかあたりをきょろきょろし始めた。
「えっ、大丈夫です。電車で帰れます。」
タクシーで帰ったらどれくらいお金がかかるのかもわからない。それにちょっと怖いけど、頑張れば駅から電車でだって帰れる。
そう思って紡木が西園寺を見上げて言うと、西園寺は前を向いたまま「いいから。」と紡木の言葉を突っぱねた。
それと同時にタクシー乗り場を見つけたのか「お、あった。」と西園寺が呟いた。
華金ではあるけどまだ9時前だからか、運良く並ばずに乗れそうだ。
乗り場に向かって歩いて行く西園寺の後ろを紡木はまたトコトコと着いて行った。