「ここまで、どうやってきたの。」


「え?あ、えっと、バスです。」


お店を出て暫く駅に向かって歩いていると、西園寺の声が上から降ってきた。


まだ少し怒りが込められたそれに紡木は顔を上げられなくて俯いたままそう答えると、西園寺ははあ、とため息をついた。


「断ればよかったのに、なにもわざわざこんな遅くにこんな所まで…。」


呆れたような声で言う西園寺に紡木は思わず「ごめんなさい。」と呟いた。


実は2時間程前、紡木は千秋から誘われたのだった。まさか居酒屋とは知らなくて送られてきた住所に着いた時に初めて知ったのであった。


とはいえ行く前になんのお店か調べなかった自分が悪いわけだし、と思って紡木は黙って西園寺の後ろを歩いた。