「…まあ何をしでかしたのかは聞かないでおくわ。

とりあえずこういうことは本人に聞くのが一番手っ取り早くて正解が知れるでしょ。」



そう言う千秋に「だからそれができたら、」苦労しないって、と西園寺が言いかけたところでタイミングよく千秋の携帯が鳴った。


ディスプレイを見た千秋はニヤリと笑みを浮かべると上機嫌で電話を取った。


「もしもーし!ついた?あ、制服じゃないよね?じゃあそのまま店員さんに伝えて入ってきてくれる?

…うん、言えばわかると思うから!」


その話す内容と千秋の普段よりご機嫌なテンションに西園寺は電話の相手を容易く見抜いて真っ青になった。


彼女をこんなお酒の席にこさせるわけにもいかせない!

ほろ酔いの脳みそでどうにか考えてひとりあたふたする西園寺に、樹は?を頭上に浮かべ、千秋は爆笑した。


「…こんにちは…。」


からから、とゆっくりと開く扉からひょこと顔を出した彼女は控えめな声で言った。


「花奏ちゃーん!」


「おう、花奏!」


そう言って紡木に手をひらひらと振る樹と千秋に相反して紡木の表情は固まっていた。