「…確かに俺はあの時、兄貴の意志を継ごうと必死だった。

でも今はそれよりも大事な事があるんだ。例え兄貴の意志を継げなくてもいいって思えるくらい。

俺はずっと葵の側にいたいんだ。

だからお願いだ、俺を見捨てないでくれ!」


「…え。」


蓮は葵から身体を離すや否や、頭を深々と下げて土下座をした。


「…あの時、兄貴も家族からの興味も失った俺に希望を与えてくれた葵が、今は何よりも失いたくないんだ。

葵が母さんのことが嫌いなら、縁を切る覚悟もある。

だから…!

一生側にいてくれ!」

そう力強く叫ぶように言う蓮の言葉に、葵は泣き笑いを浮かべながら頷いた。