「え?霧島って指輪を買うためにバイトしてるんだろ?」
「は?何?なんのこと?」
廊下で血まみれナースのコスプレをした紡木を見かけたから何の気なしに声を掛けた葵は、ポカンとした顔で紡木を見つめた。
結婚?指輪?何のこと??
そう問い詰めようとしたところで2人は「じゃ、じゃあね!…いこ、牧野くん!」と颯爽と姿を消した。
「つ、つむちゃん!?ちょっと!」
走って追いかけようかとも思ったが、人混みの中では追いつくどころか走ることもままならず、結局は廊下の真ん中で棒立ちして思考停止をしていた。
蓮が結婚?誰と?
私と…?
それとも他の女と?
そんなの許せない!
…なんて言える立場じゃないよね。
でも、でも、真偽を確かめなきゃ!!
葵はそう思い立って蓮を探すべくようやく歩き出した。