先生が傷つくことなんてわかっていたのに
それでも由梨ちゃんに嫌われたくなくて…
先生は私のことが好きだって
嫌いになることなんてないって
勝手に思い込んでたから…
私、本当に最低な事をしてしまった。
ちょっと言いすぎたかな…と、西園寺が俯いている紡木の顔を覗き込むと、紡木の目からはボロボロと涙が流れていた。
「つ、紡木さん!?」
西園寺は慌てて近くにあったティッシュを紡木に渡すと、彼女は小さい声で「すみません…。」と呟いた。
「ごめんなさい、本当に、」
嗚咽を漏らしながらそう伝える紡木に、西園寺は「大丈夫だよ。僕もごめんね。」とティッシュを一枚取ると、紡木の頬に流れた涙を優しく拭いた。
「私、本当に、最低なこと、してました。」
「そんなことないよ。」
「そんなこと、あります。先生の優しさと好意を利用するようなこと…、」
「紡木さんに利用されるなら大歓迎だよ。」
そう柔らかい笑みを浮かべながら涙を拭う西園寺に、紡木の罪悪感はもっと増した。
「駄目ですよ、先生、そんな大歓迎だなんて。」
「駄目じゃないよ。だからもう僕の為に泣かないで。」
紡木さんのことだから、きっと罪悪感に苛まれて泣いているのだろう。
そう思って、西園寺は紡木に言った。
「駄目です、駄目なんです、」
それでも頑なに否定する紡木に、西園寺は首を傾げた。