「…フラれちゃった、先生に。

好きな人は違う人だったんだって。」


嗚咽を漏らしながらそう言う由梨の背中を、紡木は優しく撫でた。



ああ、だめだ。
私、最低だ。



よかった、って心の底から思ってる。


なんでなの


最低だよ、こんなの




紡木は由梨の背中をさすりながらこっそり涙をこぼした。



由梨はひとしきり泣くと、ふらっとどこかへ消えてしまった。


紡木は内心ホッとしながら、再び化学準備室の方を見上げた。

そこにはもう西園寺の姿は見えなかった。




先生、先生に会いたい。



まだ、いるのかな…。




そう思って紡木はスッと立ち上がると、化学準備室へ向かった。