「ふう、ごめんね静生!じゃあ行こう!」



本当に5分後くらいには彼女は僕のところへ戻ってきていた。


さっきまでは髪を縛っていたけれど、今は綺麗に下ろしている。



表情とか顔回りはいつもと変わらず、僕の好みをドストライクで通過している。



「ねえ静生、後5分で学校始まるって」


「え、まじ?」


「うん。私無駄な嘘はつかないって決めてるし?」


「うんそれは知ってるけど、信じられなくて」


「僕を起こしたとき、嘘かなんかついた?」


「ついてない!でも待って、たしか時計、壊れて…………」


二人して顔を見合わせる。


瑞花は顔面蒼白になって、僕を見つめていた。一方の僕は、多分満面の笑顔だったと思う。



「なんでそんなに笑ってるの! 大事なことなんだよ?」


「ふは、だって面白くて。ちょっと学校遅れたぐらいならごまかせるよ」


「静生は優等生だから言えるの!」


僕が優等生をやってるのは、瑞花にふさわしい自分になるためなんだけどね。



瑞花のことなら、なんだってやる自信がある。