眠い眠いといいながら、きみはいつだって僕を起こしに来る。
「ほら、朝だよ!早く起きないと遅刻するよー?」
お母さんみたいな定番の台詞を吐いて、彼女は小さく笑う。
いつもいつも朝が弱い僕のことを笑ってるんじゃなくて、もぞもぞと動きながらもなかなか布団からでない僕を面白がっているのだ。
「んー、後10分、」
「だめですぅ、もう後40分で学校がはじまりますぅー」
「ええー、いいじゃんちょっとくらい遅刻しても」
「ダメですけど? だいたいね、私が毎朝わざわざ起こしにきてるってのに、お礼もないなんて良くないんじゃないの?」
「ふーん、じゃあ、ご褒美」
ちゅっ、と小さく音をたてて、僕のそれと彼女のそれを重ね合わせる。
彼女はそれを恥ずかしそうに、でも少し嬉しそうに受け取っていた。
「とにかく!学校遅れるんだから早くね!私だって準備がまだ終わってないんだからね!」
「うん、分かってるよ。ごはん食べたらそっち行くね」
チラリとそとを見ると、太陽がさんさんと照っていた。