航海にエスコートされて席に座った俺は、タイミング良く笑美から渡された水を一気飲みし、ウイッグを外そうとしたのを琥珀に止められた。


皆、俺の話を聞くのを待ち構えている。


「…ついさっき、バイト中に電話があって。俺宛だったから電話に出たら、紫苑ちゃんからだった」


そして、俺はゆっくりと先程の出来事を話し始めた。


あれ程騒がしかったリビングは静まり返り、皆が俺の話を一言も漏らさないようにと聞いている。



「──それで、多分紫苑ちゃんは何処かに閉じ込められてるんだと思う」


重要な所をかいつまんで話し終えると、誰かが大きく息を吐いたのが聞こえた。


「なるほどな。…だが、何で今まであいつは俺達に助けを求めなかったんだ?あいつは俺達の電話番号を知ってるはずだろ。それなのに何でこいつのホストクラブに電話したんだ?」


腑に落ちない顔で、銀子ちゃんが口を開いた。


「さあ…。あと、何か紫苑ちゃん変なこと言ってて」


首を傾げた俺は、そういえば、と手を叩いた。


何だ?、と言いたげな顔の琥珀が目の端に映る。


「何か、自分は0114番で、0823番がなんちゃらとか、大叔母さんがなんちゃらとかって…でも声は紫苑ちゃんだった!それは確実絶対に間違いない」


俺が、声を張り上げて断言した瞬間。