『っ、』


(え!?今の何?どういう意味!?)


何故か声を詰まらせた大也さんよりも驚いているのは、紛れもなくこの私だ。


「あ、ちょっ、ごめんなさ」


『お客様…、お客様は、そこで待っていて下さい』


謝ろうとしたら相手の声と重なって。


その口調があまりにも真剣で、私は口を噤んだ。


『お客様は、絶対に大丈夫です。信じてください』



彼のその言葉は、やけに響いて私の頭にこだました。


「……あ、」


何か言わなければ、と、必死で言葉を探していると。


「イイヨちゃーん、もう寝ちゃったかしらー?」


遠くから、大叔母さんの声とハイヒールの音が聞こえてきた。


瞬時に、私の全身の毛穴から冷や汗が吹き出す。


(電話切らないと!)


「ごめんなさい、大叔母さんが来るので電話切ります!すみません!」


『あ…ではお客様、私が行くまで絶対にそこに居てください!』


ハイヒールのコツコツという音が近付いてきて、私は最早声を出す事も出来ずにただスマホに向かって頷くことしか出来なかった。


大也さんの早口の言葉を聞いた直後、私は電話を切って電源を切り、布団の中にそれを押し込んだ。