毎食2つの飴を舐めている分には、ただ頭がぼーっとするだけで身体には支障はないけれど。


もし3つ目を舐めたら、どうなってしまうのだろう。



この夜、私は初めて大叔母さんからの言いつけを破った。



そして初めて、



(あの時の0823番の様子を見る限り…ここに居続けるのは危険かもしれない)


と、下僕になりたいという欲望よりも先に自分の身の危険を感じた。





「どうしようどうしよう、どうやったら逃げれる?…いや、ここは家なのに逃げるなんて家出と同じだから…、だけどこのままじゃ、私がおかしくなる」


それから丸2日間、私は3つ目の飴玉を吐き出している事を誰にもばれないようにしながら過ごしていた。


食事をした直後にトイレに行き、そこで袖口に隠したカピカピの飴をトイレットペーパーに包んで流す。


今の所は大叔母さんにも0823番にもばれていないけれど、これをずっとやり続けるのは不可能に近い。


大叔母さんは信じられないくらい細かいところにまで目を光らせているから、もしトイレが詰まりでもしたら一発でばれてしまうだろう。


いや、それよりも早く、私の人格が変わらないことに気付かれるのが先かもしれない。