その直後、大叔母さんは棘のある言葉を下僕に、猫撫で声を私に投げかけて出て行った。



(………)


目が覚めた直後から大声を聞いてしまって疲れた私はまた目を瞑ってしまった為、


慌ててその後を着いて行った0823番に、


「身分の上下関係も分からないあなたには、お仕置きが必要ね」


と、大叔母さんが冷たく言い放った事なんて、何も知らなかった。








『5月16日(月) 20:03』


夕飯のお粥を食べ終わり、飴玉も舐め終わった私は、目の前で食器をまとめている下僕とスマホの画面を交互に見つめていた。


あの後大叔母さんに怒られたのか、今日の0823番はやけに口数が少なくて。


「飴も3つ舐められたようなので、私は退出致します。何かありましたら、そちらのベルでお呼び下さい」


「はーい。じゃあねー」


いつものように、鎖のついた左手を振りながら彼女を見送った。


いつもより何倍も小さく見える背中が部屋から消え、ドアに鍵がかかったのを確認した瞬間、


「んっ、」


私は、舌の下に隠していた3つめの飴玉を吐き出した。


(あんなに0823番が必死でやめてって訴えてたって事は、一度に3つも飴を舐めるのは危険なのかもしれない)


あの後、そう思った私は3つ目の飴を極力舐めずに吐き出そう、という作戦を考えたのだ。