それだけで舞い上がる私。

松川くんの背中をぼーっと見つめながら、しばらくタイスケの存在を忘れていた。

「おいっ。」

少しムッとした声でタイスケが私を呼ぶ。

「あ、ごめんごめん。」

「何ぼーっと松川の野郎の後ろ姿に見とれてんだよ。」

松川の野郎ですって?!

野蛮な言い方。

「見とれてなんかないわよ。」

「見とれてたよ。ぼーっとしちゃってさ。」

「悪いけど、あんたよりは何倍も格好いいし。」

「ちぇ。」

タイスケは飲みかけのコーラをすすった。

「でもさ、マヨとは何でもないって言ってたじゃない。」

「さー、本当かどうだかね。」

「本人が違うっていってるんだから違うでしょ。マヨからだってそんなこと一言も聞いてないし。」

こんなにムキになって言ってる私って、やっぱりタイスケから見たら変よね。