タイスケをチラッと見ると、『まかしとけ』と言わんばかりに小鼻をふくらましてニヤッと笑った。

「こいつ、井原ナツミ。って、確か同じクラスだから知ってるよね?」

「ああ、うん。どうして、一緒にいるの?」

わー。

やっぱり一緒にいることに動揺してくれてたんだ~。

なんだか、そんな会話で勝手に舞い上がってる私。

「そーなのよ、実はね、」

「俺たち付き合ってるんだ。」

私の言葉を遮って、タイスケは胸を張って言い放った。

何言ってるの?こいつ!!

「え?そうなの?」

松川くんは大きく目を見開いて私を見た。

「ち、ちがっ。」

私は慌てて両手を左右にぶんぶん振った。

「あはは、ナツミ、照れんなよ。」

タイスケの冗談はなおも止まらない。

「最近つきあい始めたんだ。これ、まだ誰も知らないから内緒ね。」

人差し指を口の前で立てて、ウィンクまでしてやがる。

松川くん、違うのよ~!