「噂をすれば、だ。」

私もタイスケの視線の方に目をやった。

あ・・・。

紛れもなく、横断歩道を渡っているのは、松川くんだった。

その姿を見た瞬間に顔が熱くなって、胸がドキドキしてきた。

そういえば、私は今日松川くんの姿を探しにここにやってきたんだった。

松川くんの普段着をチェックするために。

「お~い!まーつかわくーん!」

なっ!

タイスケは窓を開けて、でっかい声で松川くんに向って叫んでいる。

なんということー。

こんな状況で、どうして松川くんと会わないといけないのよー。

松川くんはすぐにこちらに目を向けた。

タイスケはクラスが違うから、あまり面識はないはずだけど、結構目立つタイプだから顔くらいは知ってるのかも?

松川くんはちょっと困ったような笑いを浮かべて、こちらに右手を挙げた。