「それにぃ。」

マヨは続けた。

「それに?」

「どうして最近色つきのリップクリームなんてぬってるの?」

わわ。

マヨってするどい。

思わず両手で自分の口を塞いだ。


マヨと私は中学時代からの親友。

二人とも、剣道部で全く男っ気なしの生活を送ってきた。

だから、もちろん今まで誰とも付き合ったことないし、そういう話もほとんどしたことない。

実は、こういう状況は、二人の関係においては初めてのことなんだ。

手の平についたほんのりピンク色のリップクリームをそっと付いてない方の手の平でぬぐった。