ちらっと、横にいるマヨを見た。

マヨは、敢えて?こちらから視線を外して、窓の外をぼんやりと眺めていた。

マヨ、ありがとう!

二人で話す機会を作ってくれたんだね。

松川くんがせっかく私と会話してくれてるんだから、何か話さなくちゃ!

「松川くんは、マッキーのコンサートとか行ったことある?」

心臓が爆発しそうだった。

自分の声じゃないような澄ました声が口から飛び出す。

私の緊張した雰囲気を察したのか、松川くんは一瞬目をそらした。

そして、私の大好きな声で答えた。

「まだ。行ったことないけど、今度行くんだ。」

「え?今度って、来月にO市のシンフォニー会館であるあのコンサートかな?」

「うん。」

「よくチケットとれたねー。」

「まあな。」

松川くんは少し恥ずかしそうに窓の外を見た。

本当は、『誰と行くの?』って聞きたかったけど、そのまま笑顔で流してしまう。