お母さんから?

それにしては、やけに慌てて隠したよなぁ。

「え~?本当?マヨ、私には隠し事したら嫌だよ~。」

わざとふくれっつら顔で言ってみた。

「ないない、何もなーいよ。」

マヨは、私と目を合わさずに携帯をカバンに仕舞うと、右手をひらひらさせて笑いながら更衣室から出ていった。

「ち、ちょっとー。待ってよー。」

慌てて自分のカバンを肩からかけて、マヨを追いかけた。

いつものマヨじゃないみたい。

今までは私との会話はいつもはぐらかしたりしなかった。

ちゃんと答えてくれてたのに。

なんか変なの。


帰り道、会話が途切れた瞬間、ふとマヨの口元に目がいった。

「あ、マヨって前から唇にグロスぬってたっけ?」

マヨの唇はほんのり艶がかったピンク色をしていた。