「あ、夜遅くにごめーん。今大丈夫？」

「うん、大丈夫だよ。」

「あのさ、例の株山先輩の件だけどさ。さっきちゃんと返事したんだ。」

「え！もちろんオッケーのだよね？うわ、いよいよマヨにも初彼氏って感じ？」

自分でもすごく興奮していた。自分のことのように気持ちが高ぶる。

「・・・」

携帯の向こうでマヨの静かな息づかいが聞こえる。

「・・・違うの？」

「ん。やっぱりさ。悪い人じゃないんだけど、付き合うまで好きになれそうになくて。」

「へ？先週まではかなりその気だったのに？」

「うん。そうなんだ。色々心配かけてごめんね。」

いつになくマヨはしおらしかった。

「そんな、何で謝るの？最終的に決めるのはマヨだよ。」

「そうだよね。自分の今の気持ちに正直になった結果がそういうことだったから。」

「だったら、何も問題ないよ。それに、今だから言うけど、やっぱり同じ部内で付き合うのはちょっと面倒臭いかもよ。」

振ったマヨに慰めるのも変な感じだなと思いつつそう言ってみた。

「うん。ありがと。」

何が「ありがと」だろう。変な会話。

なんとなしに違和感のある会話にぎこちなさを覚えた。


「あとさ・・・」

マヨが静かに言った。

「ん？」

「松川くんのことなんだけど。」