コンサートの日以降、時々タイスケとこうやって映画観たり、ショッピングにでかけたりするようになった。

たぶん、私が明らかに松川くんにふられたってばれてるから。

タイスケとしても、放っておけないみたい。

あれでいて、結構情の深い奴なんだ。


「ほい、チケット。これでいいよな?」

差し出されたチケットは・・・。

「クレヨンしんちゃん?!」

思わず吹き出した。

「子どもじゃないんだしー。」

って言いながらも、この笑える選択はタイスケらしくて、嬉しかった。

「これ、絶対、笑えるだろ。それに、自分が大人なんだって実感できるっつうか。」

「は?何それ。」

「いや、自分も成長してんだなーって冷静に感じられるじゃん?なんとなく、こういう子ども向けの映画とか観たらさ。」

「ふぅん。」

すごくわかりにくいけど、きっとこういうのってタイスケ特有の慰め方なんだと思う。

相変わらず不器用な奴。

でも、そんな言葉ですら、今の私にはありがたかったりするんだ。

傷つくと、人の優しさが身にしみるって本当だねぇ。