「私には他に好きな人がいるって。」

マヨ？？

松川くんにそんな風に答えたの？

だって、だって、こんなにも松川くんに惹かれてるのに。

いつの間にか私はマヨの気持ちを心配する側になっていた。

マヨの本当の気持ちを知って、正直ショックな内容だったけど、私を大切に思ってくれてることがとても嬉しかった。

やっぱり、マヨが親友でよかったって思ったんだ。

人の気持ちは誰にも束縛できない。

松川くんが、マヨを好きな気持ち。

マヨが松川くんを好きだって気持ち。

例え、私が松川くんを好きでも、二人の気持ちの邪魔をする権利なんてどこにもない。

そう思えるのも、きっとマヨだから。

「だめだよ、マヨ。きちんと松川くんには伝えなきゃ。」

「でも・・・ナツミの気持ちを思うとそんなこと言えないよ。」

マヨの頬には涙がポロポロと伝っていた。

「私、マヨの話聞いて、本当にショックだった。でも、それ以上に嬉しかったんだ。マヨの私に対する気持ちが。」

マヨは、「ふわぁ」っと声を上げて泣いた。

「私以上に、きっとマヨは辛かったんだよね。ありがとう、本当の気持ちを教えてくれて。」

私の心の中は、自分でも驚くほどに爽やかだった。

なんていうか、今まで喉の奥に突き刺さってとれなかった魚の骨がポロッととれた感じ。