「その時、一瞬、すごく嬉しくて気持ちが跳ね上がったんだ。自分でもびっくりするくらい。本当に、私は松川くんのことを好きになってしまったのかもしれないって、実感してしまった瞬間だった。」

マヨは私に何が言いたいの?

「だけど。」

だけど?

「私は、ナツミが大切だったから。本当に大好きだから、すぐにコンサートは断ったよ。そして、ナツミだったらきっとそのコンサート行きたいって思うよって、言ったんだ。」

そうだったの。

「ごめんね。ナツミ。私はナツミには嘘はつきたくないから、今まであったこと全部話したいと思ってる。これ以上聞きたくなかったら遠慮なく言って。」

さっきまで、マヨに対してものすごい嫌悪感があった。

まるで、自分はモテるんだってことを私にひけらかすために話しをしてるみたいで。

なのに、そんな気遣いされたら、私もどういう気持ちになっていいかわからないよ。

マヨの目は、少し涙でうるんでいた。

今までに見たことがないような、思い詰めた顔をしていた。

私が辛い以上に、マヨは今辛いのかもしれないって。

「マヨ、全部話して。私は大丈夫だから。」

マヨの目を信じて言った。