「何してんの、こんなところで一人で。今日は予定あんじゃなかった?」

少しぶっきらぼうな口調。

まだ怒ってるの?!

「予定、あ、あるわよ。今は時間つぶし!」

「へぇ。時間つぶしね。この後どっか行くわけ。」

そうだった。

今日の予定が、タイスケが誘ってくれたのと同じコンサートだってことは言ってなかったもんね。

「そ、そうよ。この後、待ち合わせて行くんだ。」

「ふん。彼氏なんていないくせに、彼氏と待ち合わせっぽいような言い方しやがって。」

「ほっといてよ!あんたには関係ないでしょ。そ、それよか、今日のコンサート行く相手見つかった?」

タイスケは憮然とした表情のまま、前髪を無造作にかき上げた。

「見つかったけど、今さっきふられた。」

「へ?」

「で、最悪なことに一人でコンサート行くハメになっちまったんだよ。」

「そうなの?」

「そうだよ。俺もついてねーよな。」

「結局誰誘ったの?」

「マーヨ。」

マヨ?!

少しだけ不愉快な気持ちがふつふつと沸いて、すぐに消えた。

「お前の言ってたように、野郎でも吉岡誘っときゃよかった。一人で行くよりかはなんぼかマシだもんな。」