「まずは『おはよう』だろ?」

タイスケは時にもっともなことを偉そうに言う。

「はいはい、おはようさん。この朝っぱら何でございましょう?」

私はタイスケの顔をみずに、一時限の英文読解の教科書をカバンから取り出した。

「お前のクラスは一時限は英文読解?確か米村先生だったっけ。米村ちゃん、まだ大学出てほやほやでかっわいいーんだよな。俺も一緒に受けていい?」

「何ばかなこと言ってんの。そんな話するために朝からここにいるわけ?」

「まっさか。朝からお前が超喜ぶ話聞かせてやろうと思って。」

「何よ。」

「週末のマッキーのコンサート。」

は???!

何でタイスケまでそれを知ってるのよ!?

目を大きく見開いてタイスケの顔を凝視した。

それ以上言うな!って威嚇の意味も込めて。

「な、な、何だよう!そんな怖い顔してさ。」

「マッキーのコンサートって、何よ。」

誰にも聞かれないように声を絞り出して言う。

「お前、マッキー好きじゃなかったっけ?」



「実はさ、手に入ったんだって、マッキーのチケット!」

タイスケは満面の笑みで制服のポケットからチケットを二枚ちらつかせた。