「じゃ、それだけ。悪いけど当日はお付き合いよろしく。」

松川くんは長い前髪をかき上げると、右手を挙げて颯爽と私の前から去っていった。

うわぁ~。

嘘みたい。

こんなことってあるんだ。

松川くんと、マッキーのコンサートだってぇ!

今この場で、「やったぜい!」って叫んで、踊り狂いたい衝動にかられた。

いやいや、それはダメ。

とにかく、お母さんとの待ち合わせ場所に急ごう。

そして、コンサートに着ていく、とびっきり素敵な服を買うんだ。


こんな嬉しい話。

今までだったら、すぐにマヨに報告するのに。

真実がわからない状況では、やっぱり躊躇した。


ま、そんなことより。

松川くんのお誘いを受けたのは間違いのない真実なわけで!

やったー!

私はスキップしそうになる足をなんとか踏み留めて、お母さんの待つ駅の改札口へと急いだ。