「いやー、朝からびっくりしたよー。」

マヨは買ってきた焼きそばパンをほおばりながら私の方へ向き直った。

「ちょっと、私まだ何も言ってないよ。」

そう言って、私もチョコパンを少しかじる。

「またまたぁ。正直に言いなよ。いつから?」

「う~ん。実は、高1の終わりくらいからなんだよね。」

「まじでー!全然知らなかったよ。どうして教えてくれなかったのぉ、水くさいったら。」

マヨはそう言いいながら、焼きそばパンを頬ばって私の腕をつついた。

「だってさ、誰かに恋するなんてさ、なんか自分のキャラと全然違うくて恥ずかしいっていうか。特に私の本性ばれてるマヨにはとりわけね。」

マヨは「ふふん」と鼻で笑って、牛乳をストローですすった。

「それにしても、このナツミがねぇ。剣道の段取りしか興味がないかと思ってたわ。いつの間にか色気づいちゃってさぁ。一著前の恋する女の子になってんじゃない。」

恋する女の子か。

あまりに自分のキャラからかけ離れすぎて、恥ずかしいを通り越して笑えちゃう。

「ほんとだよね。男子になんて、全く興味なかったのに。」

「だって、ナツミは剣道も強いから、自分より強い人が現れない限り恋なんてしない!ってタイプだったもんね。」

「うん、私もそのつもりだったんだけどね。」

「それが、またあの松川君!?ひょろっとして色白で、思いっきり草食男子じゃない!」

・・・ん。 

まぁ確かに。