わかってたはずなのに……。



我慢するのがこんなに辛いなんて……っ!



昔から、弟の紫音がいたから我慢することには慣れていた。



バイトだって、勉強だって。



どんなに眠くても、疲れていても。



必ず怠らずにやりたいことを我慢してやってきた。



そうなのに……。



涙が次から次へと溢れてくるのは……なんで?



これくらい我慢できるでしょ。



好きな人くらいまたいつかできる。



泣き顔を見られたくなくてしゃがみ込む。



「はぁー……ったく」



そうカヤが小さくつぶやいたかと思えば、突然顎をつかまれる。



「っ!?」



その瞬間、唇に触れるあたたかくてやわらかいもの。




それは一瞬の出来事で。



ゆっくりと、お互いの唇が離れた……。



「こーゆーこと」



カヤは少し頬を赤らめて私から目を逸らす。



……ねぇ、カヤ。



そんなことされたら……期待、しちゃうじゃん。