まずい、このままじゃ絶対に紫音に気づかれちゃう。



「紫音はホテル泊まって!はいお金!また明日来てね!」



「え、ちょ、姉ちゃ」



私は紫音にお金と荷物を押しつけて家から追い出した。



ふぅ……ごめんね紫音……。



罪悪感が残る中、カヤの方を向く。



「……カヤ」



少し気まずい。



そっか、私の家にいるのって私のご飯が美味しいからか……。



まあそれ以外ないよね。



「いやー、急に紫音がごめんね!ほんと大変だったよねーー……」



「くるみ」



精一杯元気な笑顔と声を作って言ったはず。



真剣な顔でカヤに名前を呼ばれる。



「……何、」



「くるみの作るごはんが俺の全部じゃねーから……。俺はここに住まわせてもらってることちゃんと感謝してる」



「……わかってるよそんなこと!いちいち言わないでもね!」



あはは!と笑い飛ばしてみせるけど、口角がもう上がらない。



きっとカヤ、私に思うことはないんだろうなぁ。



気持ち伝えてもどうにもならないし。



そう考えているうちに視界には涙のフィルター。



え……?



ぽろぽろとこぼれる涙。



なんでかなぁ……。こうなることなんて、最初からわかってたはずなのに。