「んだよ不審者変態野郎」
渋々とカヤのもとへ行く紫音。
カヤも背が高いため2人が並ぶとさほど変わりはない。
「あのな、姉ちゃん大事かもしれねーけど。俺だってお前の姉ちゃん大事なんだわ」
「えっ……」
頭の中が一瞬真っ白になる。
い、今のってほとんど……告白、じゃないの……?
「お前の姉ちゃんいねーと上手い飯が食えねーの、わかるか?」
ガクッと効果音がつきそうなくらい拍子抜けした。
な、なんだ。そういうことか……。
変な期待を抱いていた自分が恥ずかしく思えてくる。
「なに、不審者変態野郎より俺の方が姉ちゃんのこと大事にしてるし!」
なんとなく話が噛み合っていない……。
カヤは小さくため息をつくと、帽子も、マスクもサングラスも取り外した。
ストレートなブラウンの髪、琥珀色の瞳、形のいい唇。
何度見てもカッコいいと思うカヤは、紫音に向かって微笑んだ。
「俺、不審者じゃねーから」