雨が強くならないうちに家に帰った私たちは、遅めのお昼ご飯を食べることにした。
 
「いただきます」

「いただきます」

 お昼ご飯は散歩の帰りにお弁当屋さんに寄って、二人分ののり弁当を購入した。

「ん、美味しい」

「うん、美味いな」

「ここに乗ってるきんぴらごぼうが美味しいよ」

 お弁当なんて久しぶりに食べた気がする。たまにこうやってお弁当を食べるのもいい。 

「本当だ。 でも愛南の作るきんぴらごぼうのが美味しくない?」
 
「え?そうかな」

 たまにきんぴらごぼう作ったりはするけど、得意かと言われるとそうじゃないような気もする。
 まあ、愛莉もそんなに料理が上手だった訳ではないのだけど。愛莉は料理は特に苦手だったみたいだから。

「俺はそう思うけどな」

「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」 
 
「本当のことだからさ」

 裕太さんは優しい。いつもこうやって褒めてくれるし。

「たまにのり弁って食べたくならない?」

「そうか?」

「うん。なんかこう、無性に食べたくなる時あるんだよね」

 小さい頃から、私たちはのり弁が好きだったのを思い出した。のりの下にあるおかかと昆布が特に好きだったんだ。