「そうよ!もう国宝級のイケメンよ!」
こ、国宝級……?! あの有名雑誌でやってるあのコンテストのことかな?
「そんな国宝級のイケメンを旦那さんに持つ愛南ちゃんは幸せ者ね!」
確かに裕太さんは、カッコイイ。髪を切ったらよりカッコよくなった。
「確かに……幸せですね」
「やだ、もう! 惚気ちゃって!」
惚気たつもりは一切なかったのだが、そういうことにしておこうかな。
「愛南ちゃん、次のお客様お願い出来る?」
「はい」
私にとってこの仕事は、やっぱり合ってるのかも。それは愛莉も、言ってくれた。
私は何度も愛莉の髪を切った。愛莉の髪はとてもキレイなストレートロングの髪で、切るのがもったいないくらいだったんだ。
でも愛莉の髪は本当に切りやすくて、愛莉はいつも喜んでくれた。 裕太さんに会う前には、いつもお店に来てくれてたんだ。
【わー!今日も素敵! ありがとう愛南!】
【さすが愛南! これなら裕太さんにもかわいいって言ってもらえるよ!】
そうやって喜ぶ愛莉の顔が、私はずっと忘れることが出来ない。
あの時の愛莉の顔は本当に嬉しそうで、愛おしい人に可愛く見えたいという愛莉の幸せが滲み出ていたから。