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「はい、裕太さん。どう?」

「お……すごい。イイ感じだな」

 一週間後の土曜日、裕太さんは実際に髪を切りに来てくれた。
 約束通り、私が裕太さんの髪を切った。

「とても似合ってるよ」

「それは嬉しいな。今までの自分とはちょっと違うな」

 そうやって言ってもらえるのが、一番嬉しい。美容室で働く人間にとって、そういう生まれ変わったと言う言葉が一番嬉しくて、次への活力になる。
 もちろん、全部がそうとは限らない。中には何かに引っかかって思うような髪型にならなかったとかもあるかもしれないけど。

「どう?サラサラでしょ?」

「本当だ。すごいサラサラしてる」

 生まれ変わった裕太さんは、最高にカッコよくなっていた。私でさえ、惚れ直してしまいそうなほどだ。
 今までの裕太さんより、何倍もカッコいい。

「また切ってあげるね」

「お、ありがとう」

「じゃあ、あっちでお会計するね」

「分かった」

 お会計を終えた裕太さんは、「ありがとうございました」と満足した表情でお店を後にする。

「愛南ちゃん!旦那さんめっちゃイケメンね!」

 同僚のスタッフから頬を突つかれる。

「そうですか?」