「お風呂出たよ、裕太さん」

「了解。じゃあ俺もお風呂入ってくるよ」

「行ってらっしゃい」

 スキンケアしたり髪を乾かしたりしながら裕太かんのことを待っていると、裕太さんが髪をタオルで拭きながらリビングにやってくる。

「さっぱりしたな」

 裕太さんは私の隣に腰掛けると、「愛南の使ってるシャンプー、ほんとにいいな。髪サラサラになるし、いい香りがするな」と褒めてくれる。

「そうですよね?ほんとにいいシャンプーなんですよ?」

「確かにいいシャンプーだ。間違いないな」

 美容室専売品のシャンプーだから、いいものなのだ。

「裕太さんの髪からもいいニオイします」

「同じシャンプー使ってるからな」

「確かに」

 私はいつも思うことがある。誰かと同じ香りを共有出来るのって、やっぱりいいなって思う。
 同じ香りを嗅いで、同じものを食べて、同じベッドで寝る。これが何気ない幸せだと思う。

「髪乾かしてあげようか?」

「お、それはいいアイデアだな」

 裕太さんの髪を優しく乾かしながら、私は「裕太さんの髪、染めてみたいな」と思わず口にしまう。

「愛南が染めてくれるの?」

「もちろん」

「愛南は、俺には何色が似合うと思う?」