「いいの? ありがとう」 

 裕太さんの作るカレーはすごく美味しくて、お腹も心も満たされた。

「ごちそうさまでした」

「うん」

「食器は私が洗うから」

 と言ったものの、裕太さんは「いいよ、愛南はお風呂にでも入ってきな。疲れただろ?」と優しい言葉を掛けてくれる。

「じゃあ……お言葉に甘えて、入ってこようかな」

 裕太さんの優しさに甘えて、お風呂に入ることにした。
 美容師は常に立ち仕事で足もむくむから、お風呂にゆっくり浸かって疲れを取るのが一番のリフレッシュになる。

「気持ちいい……」

 湯船に浸かっていると、扉の向こうから「愛南、湯加減はどう?」と聞こえてくる。

「ちょうどいい湯加減です」

「そっか。良かった」

「疲れが取れそうです」

 再び扉の向こうから「俺のことは気にしないでいいから、ゆっくり浸かってな」と優しい声が聞こえてくる。

「ありがとう」

 ……愛莉もこんなに、裕太さんから優しくされていたのかな。
 私みたいに……愛莉もこんなに愛されていたのかな。 きっと愛されていたに違いない。
 裕太さんが私を愛してくれたように、愛莉もきっとたくさん愛してもらえたんだろうな、きっと。
 私たちは、幸せ者だね。