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「おはようございます」

「お、おはよう愛南ちゃん」

「愛南、おはよう」

 次の日お店に出勤した私は、スタッフみんなと挨拶を交わす。

「店長、今日一人キャンセルが出たんですけど」

「そっか。キャンセルね、了解」

 ネットで予約していた常連のお客様が今日来店予定だったが、キャンセルになったとのことだった。

「愛南ちゃん、今日初めてご予約のお客様、愛南ちゃん担当する?」

「えっ、でも……いいんですか?」

「いいよ。愛南ちゃんやりな。スタイリスト指名なしってなってたから」

「ありがとうございます」

 店長はカリスマ美容師だなんて言われるこのお店だけど、まだまだ私は経験が浅いから、もっとたくさんお客様の髪を切らないと上達しない。

「みんなそれぞれ、今日の予定確認しておいて」

「ごめん。愛南ちゃん、玄関掃除頼んでもいい?」

「はい。行ってきます」
 
 朝の九時からお店を開けるため、開店前に玄関の掃き掃除をする。
 この業界に入ってもう何年も経つけど、まだ私は苦手なことだらけだ。 日々、勉強の毎日だ。

「そろそろお店開けるよ〜。みんな準備して!」

 開店五分前になり、慌ただしくなる。