凛は当然驚く。これから付き合っている人に会いに行き、そこでプロポーズをすると先ほど言っていた人間が、何故ここにいるのか分からなかった。それに、凛は翔に一度も自宅の場所を教えた覚えはない。

色々な意味で混乱する凛の前で、翔はポケットから小さな箱を取り出して開ける。中に入っていたのは、可愛らしい羽の装飾がついたダイヤの指輪だった。

「えっ?えっ?」

ますます戸惑う凛の前でニコリと翔は笑い、口を開く。

「愛してる。これから、ずっと俺と一緒にいてほしい。絶対に大切にする。結婚してください」

私たち、付き合ってないよねと凛は言いたかった。だが、戸惑った表情でそれを伝えようと口を開けば、翔にスマホの画面を見せられる。そこには、翔のプロポーズを応援し、成功するよう祈るメッセージが次々と送られていた。

「こんなにたくさんの人に祝福してもらえるなんて、俺たちは幸せだね?」

凛の目の前は、真っ暗になった。