「実は今日、大切な報告をさせていただこうと思います」

少し雑談をした後、バロンは真剣な声になる。凛が何だろうとドキドキする中、「実は俺、付き合っている人がいます」とバロンが言った。

「えっ……」

突然の告白に凛は驚き、他のリスナーたちも「ショック」や「マ!?」といったメッセージが次々と上がってくる。

「さっき投稿した曲は、その人を想って初めて作った曲で、これからその人にプロポーズをしたいと思います。リスナーのみんなに見守ってほしくて、この配信をしようと思いました」

推しが人生最大の幸せを掴む瞬間を見られるなんて、と凛は興奮していた。バロンのリスナーとはいえ、凛はリアコではない。バロンーーー翔には幸せになってほしい。そう思っていると、凛のマンションの部屋のベルが鳴り響く。

「もう!せっかく配信中なのに……」

もしかしたら頼んでいた荷物かもしれないと思い、凛はドアを開ける。だがそこにいたのは宅配業者ではなく、緊張した様子の翔だった。

「えっ、何で!?」