「わたしがもし、この先悲観的で暗い人間になったらどうしますか?」
「どうするって、何を」
突然の話題振りに、絹笠さんはこちらを見る。
冷静な質問だ。確かに、何を。
「別れる、とか」
「そんな、簡単に言われると凹む」
「いや、絹笠さんがですよ?」
「話し合う。それで一緒に居られるところで、落としどころを見つける」
「問題解決への道が明確ですね……」
ふよふよと浮かぶ海月に飽きて、歩き出すわたしに絹笠さんは着いてくる。
暗い通路の先に、イルカが見えた。
ザッパーン、と水中に飛び込むと共にすごい早さで動いていく。