視線を感じ、そちらを見れば驚いたような顔。
「な、んですか」
「羽巣さんがそう思ってくれるとは。やっと会えても迷惑そうだった」
「それは」
思い返す。
そうですね、としか言えない。
「その変化が嬉しい」
手を引かれた。
変化を楽しむ人がいるなんて。
わたしは怖い。
仕事も、生活も、現状維持だけで手一杯だ。
そんなところに絹笠さんは飛び込んできた。
楽観的だと、明るいと、自分でも思うし他人にもよく言われる。
だけど、本当は臆病なだけだ。
平常を何かに奪われるのが怖くて、だから平気な振りをしてるのかもしれない。