気付けば春がそこまで来ていた。
梅の花びらが落ちているのを見て、ぼーっとしてしまった。

「おはよーございます!」
「おはようございます。いってらっしゃい」
「行ってきまーす!」

近所の小学生たちが登校していくのを見送る。

店内に戻って、事務所へ行く。スマホのメッセージの中に、絹笠さんがいる。いるのは知っているけれど、読む気になれず放置して三日。

心の奥がざわついていた。
それは人手が足りないことも、給料日が近いのも理由のひとつだ。

一番大きなのは、あの女性と一緒に歩いていた姿だ。

現実、とか思いながら、全然受け入れられていない。