車の鍵を取りながら、笑って返す。

「白石さんが知り合い当たってくれるって」
「うん、聞いた。本当に感謝しかない。配達行ってきます」
「気を付けてー」

はーい、と返事をして車の鍵を持って出た。

今日は重い衣類が無くて助かる。受付も配達も行ける人が雇えれば良いんだけどな……それは望みすぎか。
今日みたいにいきなり欠員が出たときとか。

車を降りて、もう一軒近いからこのまま歩いて行ってしまおうと、歩く。

大通りは人が行き交っている。大体がスーツで、外回りとか営業とか色々あるんだろう。
高いヒールで歩き回るなんて、わたしなら一時間で何度転ぶか。