しかし、学生はやって来た。

「すみません、遅れて……!」
「ああ、いえ、何かありました?」
「大学に忘れ物してしまって」
「連絡は出来ませでした?」
「連絡……すみません」

面接はきちんとやった。でも、結果は最初から決まっていた。

額を押さえながらPCと向き合う。

「羽巣さん、レジ締めと店締め終わりました」
「あ、はい、お疲れ様です」
「……さっきの学生どうでした?」

エプロンを外しながら白石さんがこちらを窺う。わたしは笑って誤魔化したけれど、伝わってしまったらしく、小さく頷いていた。