何が気になったのだろう。
うちの店構え?

ぱっと店の中へ視線を送ると、レジ前でチラチラとこちらを窺う大竹さんの姿。

「絹笠さん、朝の貴重な時間が」

後ろに回って背中を押す。本社への道へと。

「ああ、邪魔した」
「邪魔では無いんですけど、視線が」
「視線?」
「いえ、こっちの話です。じゃあ行ってらっしゃいです」

いつもの具合で見送ると、絹笠さんはにこと微笑んだ。

「行ってきます」

その背中を見送り、店へと戻る。

「もしかして、今の人? 昨日一緒に飲んだっていう」

先程の言葉からどう曲解すればそう取れるのか。